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手術室

CALS

Cardiac Surgery
Advanced Life Support

​心臓血管外科術後心停止に
特化した蘇生プロトコール

CALS とは

CALS (Cardiac Surgery Advanced Life Support) は、
心臓手術後に発生する心停止に特化した
蘇生対応プロトコールです。

心臓手術後の患者では、
一般的な心肺蘇生とは異なる原因や対応が求められるため、
迅速かつ体系的な判断と処置が必要となります。

CALS は、
こうした特殊な状況に適切に対応するために、
医療従事者向けに設計された、
実践的な教育・対応システムです。

​心・大血管術後
心停止に特化

迅速な対応と
原因検索

チームでの
体系的対応

心・大血管術後心停止の特殊性  
― なぜ CALS が必要なのか ―

心臓血管外科術後に発生する心停止は、
一般的な心停止とは原因や対応が大きく異なります。

そのため、従来の汎用的な蘇生プロトコールのみでは
十分な対応が困難な場合があります。

心停止の原因が異なる

心臓手術後の心停止は、
手術に関連した原因によって

発生することが多く、
多くは可逆的な要因によるものです。

 

■ 出血
■ 心タンポナーデ
■ 極度循環血液量低下
■ 不整脈(心室細動など)

迅速な覚知・対応が可能

多くの症例は ICU などの
高度監視(モニタリング)環境下で
発生するため、

​

■ 電気的除細動
■ ペーシング

​

などの迅速な対応が可能です。

胸骨圧迫には
特有のリスクがある

心臓手術直後の患者では、
胸骨圧迫によって、

​

■ 大量出血
■ 心筋・大血管損傷
■ 人工弁やグラフトの障害

​

などの重大な合併症を
生じる可能性があります。

緊急再開胸が
必要になることがある

術後出血や心タンポナーデなどでは、
胸骨圧迫のみでは十分な循環を
得られないことがあります。

このような場合には、
迅速な緊急再開胸による
対応が必要となります。

これらの理由から、
ACLS 等の汎用的な蘇生プロトコールのみでは
十分な対応が困難となる場合があります。

CALS の基本的な考え方  
― 対応の設計思想 ―

CALS は、単なる蘇生「手順」ではなく、
心・大血管術後心停止という特殊な状況に対して、
安全かつ迅速に対応できるよう設計された「システム」です。

その基本には、
効果を最大化しながら弊害を最小化する、
という考え方・設計思想があります。

専門医が不在でも
成立する設計

心停止の瞬間に、
熟練医や専門医がその場に不在でも、
現場にいる医療従事者のみで

対応できるよう、
CALS は設計されています。

 

蘇生行為による
弊害を最少化しつつ、
最大限の効果を得ることを
目指しています。

効果の最大化と
弊害の最小化

迅速な除細動や
ペーシングなどにより、
早期の循環再開を目指す一方で、
不必要な胸骨圧迫や、
過剰な薬剤投与などによる
合併症のリスクを
最小限に抑えることを
重視しています。

チーム全体で機能する設計

心臓血管外科医師だけでなく、​

■ 集中治療科医師

■ 麻酔科医師

■ 循環器内科医師

■ 臨床研修医師
■ 看護師
■ 臨床工学技士

■ リハビリテーション専門職
■ 薬剤師
■ 放射線技師
■ 管理栄養士 
​など、

心臓血管外科術後の患者さんの
診療に携わる多職種が
連携して対応することを前提に
​設計されています。

人的要因も重視

CALS では、​

■ 認知負荷の軽減

■ チーム協調行動の促進

■ 心理的安全性の向上

といった人的要因も重視し、
迅速で安全な対応が
行える環境・仕組みづくりを
目指しています。

CALS における人的要因

​​​​​​​​​​​​​迅速で安全な対応が行える

環境・仕組みづくりを目指しています。

CALSは、単なる「手順」だけではなく、
プロトコール・教育・シミュレーションの
3つの要素によって支えられています。
​​​​​​​​​​​​
​​​​​​​​​​

CALS を構成する3要素:Protocol, Education, Simulation

これらの要素が相互に連携することで初めて、
CALS は実際の臨床現場で機能します。

CALS における人的要因(Human Factors)

「標準化」は
「個別化を妨げるもの」
ではありません

CALS における「標準化」は、
患者さんお一人お一人の状況に応じた
個別の判断や柔軟な対応を妨げるものではありません。

すべての患者さんに共通する
「最大公約数的な対応」を
あらかじめ標準化・自働化することで、
医療者の認知資源や人的資源を、
より個別性の高い判断や処置に
集中させることが可能になります。

すなわち、
標準化を通じて、
むしろ個別化は行いやすくなる
、
という考え方に基づいています。

CALS は
「底上げ」のための仕組みです

CALSは、蘇生の質と安全性の
「底上げ」を目的として設計されています。

経験豊富な医師による
追加の判断や指示を妨げるものではなく、
むしろそれらを支援し、
より安全で質の高い医療の実現を
目指すものです。

CALS 対応アルゴリズム
― 実際の対応の流れ ―

CALS では、
心臓血管外科術後心停止という
特殊な状況に対応するために、
一般的な蘇生プロトコールとは
一部異なる対応の流れが
採用されています。

以下に、CALS における
基本的な対応アルゴリズムの
概要を示します。

ACLS と CALS との違い

まず、一般的な
ACLS (Advanced Cardiovascular Life Support)
の主な違いを示します。

ACLS と CALS との比較

※ CALS は、ACLS を否定するものではありません。
ACLS をはじめとする汎用的な二次救命処置を
重要な基礎として位置づけています。
その上で、心・大血管術後という
より特殊性の高い状況に対応するために、
追加の判断や対応を組み込んだ、
いわば「二階部分」のような位置付けの
プロトコールとして設計されています。

CALSでは、これらの違いを踏まえた上で、
以下のような対応アルゴリズムが採用されています。

CALS アルゴリズム

以下に、CALS における
基本的な心停止対応アルゴリズムの概要を示します。

このアルゴリズムは、
心臓血管外科術後という特殊な状況において、
迅速かつ安全に対応するために設計されたものです。

実際の運用においては、
施設ごとの体制に応じた調整が必要となります。

CALS (Cardiac Surgery Advanced Life Support) の心停止対応アルゴリズム

※ 実際の詳細な対応については、
各施設ごとのプロトコールおよび
上級医の指示に従ってください。


本アルゴリズムは、
リズムの評価を最初に行い、
適応がある場合には
電気的除細動やペーシングを優先することを
基本としています。

それらが迅速(目安として1分以内)に
実施できない場合や、
実施したが奏功しなかった場合には、
直ちに胸骨圧迫を開始します。



【重要な注意】

CALSは、
胸骨圧迫を行わないことを
推奨するものではありません。

電気的除細動やペーシングが
迅速に実施可能な場合に限り、
それらを優先するという考え方に
基づいています。

このアルゴリズムは、
単独で機能するものではなく、
教育およびシミュレーショントレーニングと
組み合わせて運用されることにより、
初めて最大の効果を発揮します。

各施設における継続的な訓練と
体制整備が不可欠です。

参考文献

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